ニュースレターNo. 57 (2026年8月発行)

目次

「三つ撚(よ)りの糸は簡単には切れない。」(旧約聖書 箴言4章12節)

今年の初め、私は初めての経験をしました……入院したのです。まったく予想していませんでした。

人を助ける側の人間だと思っていた私が、完全に周りの人に頼らなければならなくなったのです。自分には何でも乗り越えられるだけの体力と健康があると思っていましたが、わずか数時間のうちに、急性肺炎によって、酸素吸入器なしでは生きていけない体になりました。自分は強いと思っていた、その思い込みが打ち砕かれたのです。

こうなると、友人や近所の人たちにすべてを頼る以外に選択肢はありませんでした。特に、19歳の息子のマイカが突然の母親の不在にショックを受けないようにと、みんなが総出で私の代わりをしてくれました。作業所への送迎、夕食の準備、寝かしつけなどをしてくれたのです。

私が入院中に必要な物を届けてくれ、会いに来てくれ、退院するときには迎えに来てくれました。そして、退院後体力が回復するまでの間、私たちのために食事まで届けてくれました。

この一連の経験を通して、私は自分の周りにあるコミュニティの存在に心から感謝するようになりました。同時に、私の中にあったプライドも打ち砕かれ、自分がいかに弱く、もろい存在であるかという現実を思い知らされました。振り返ってみると、私にとって良い経験だったと思います。

冒頭の聖書の言葉は、私たちは一人では簡単に倒れ、失敗してしまうけれど、誰かと一緒なら耐え抜くことができる、ということを表しています。助けが必要だと認めるのは簡単ではないことも多いですが、助けを求めることができたとき、私たちはより強く、より賢く、より謙遜に、そしてより幸せになることができます。このニュースレターでご紹介する二つのインタビューからも、助けを求めることの大切さがお分かりいただけると思います。

神様は、私たちが神様を必要とし、そして互いを必要とするように、私たちを造られました。聖書にはこのようにも書かれています。「求めなさい。そうすれば与えられます。探しなさい。そうすれば見出します。たたきなさい。そうすれば開かれます。」

今日、勇気を出して誰かに助けを求めるなら、いつかあなたも、助けを必要としている誰かを助けることができるようになるかもしれません。それは、あなたの人生の大きな喜びとなるでしょう。

祝福を祈ります。

創設者/理事 シンシア・ルブル

2026年4月撮影。左から:①半年間ホームステイの家の家事全般を担った相場 ②シンシア ③代表富田 ④困った時にはなんでも知っている助産師篠田 ⑤今年から電話相談ローテーション入りした助産師沢田。他にも多くのボランティアスタッフに支えられ、今年も活動を続けることができています。みなさんいつもありがとうございます。

ホームステイ「卒業生」にインタビュー

Mさんの場合

Mさんは、3年前ライフ・ホープ・ネットワークに来た当時は17歳。出産しホームステイ終了後は母子生活支援施設(母子寮)で、娘のEちゃんと生活しています。

インタビュー当日、ビデオ通話の画面にMさん登場、とともに満面の笑みのEちゃんも参戦。普段は保育園に行っていますがこの日は某ウイルス感染のためお休みしたそうです。とはいえさほど症状は出ていないようで元気。しゃべるしゃべる。そして何が嬉しいのかわからないけど嬉しそう。画面越しの私のことも認識して私にも話してくれます。さすがデジタルネイティブ。でもMさんは普段家では子どもにスマホは一切触らせていないそうです。しっかり者のお母さんです。

しっかり者のお母さんに育てられているEちゃんもしっかり者です。Mさんが教えたわけではないのに、朝起きたら自分でカーテンを開けて、お布団をたたんで、Mさんを起こしてくれることもあるそうです。これはMさんも予想外で、シングルマザーになった当初は「もっと失敗すると思っていた」そうですが、実際のEちゃんは夜泣きも少なく、今はもうおむつも取れて、「育てやすい子」とのことでした。

とはいえもちろん子育てが楽なわけではありません。Eちゃんが話せるようになり、イヤイヤ期の今はこれまでで「一番大変」。我の強いEちゃんとの向き合い方や自分自身の感情をコントロールすることの難しさについても話してくれました。Mさんは幼少期に母親からのネグレクトがあり、常に母の顔色をうかがう生活だったそうです。Eちゃんも同じように自分の顔色をうかがったり我慢したりしているのではないか?と心配になることもあるそうです。

念のために書いておくと、このインタビューの間、Eちゃんはビデオ通話の画面に何度も入ってきたりMさんに話しかけたりしていましたが、インタビュアーの私には、Eちゃんが母親の顔色をうかがっているように見えることはありませんでした。でも、責任感の強いお母さんであればあるほど、自分がうまく子育てできているかどうか不安も強くなるものだと思います。気軽に相談できる家族がいない環境ではなおさらそうかもしれません。

その点では、Mさんが出産直後から一人ではなく、産後2ヶ月はライフ・ホープ・ネットワークで、その後は母子生活支援施設でサポートを受けて来たのはとても重要なことだと思いました。

Mさんは子育ての悩みを施設の職員の方に相談しているそうです。たとえばMさんには理解できない、苛立つような行動をEちゃんがした時に、Eちゃんはこういう意図でその行動をしていると思う、と職員さんに教えてもらって助かったとのことでした。施設で色々な子どもを見てきている職員さんの知恵は貴重です。また今は、週一回、外部の保育専門家にEちゃんとの関わり方や遊び方を見てもらってアドバイスを受けているそうです。

さて、ここまでMさんの子育ての様子を書いてきましたが、Mさんはこの3年間ひたすら子育てだけを頑張ってきたのではありません!高校を卒業していなかったMさんは、産後に通信制高校に入学。来年春に卒業予定です。さらに学業と並行してレストランで働いています。Eちゃんが保育園に行っている間に働き、仕事が休みの日に勉強し、そしてEちゃん帰宅後は上に書いたような子育ての悩みに向き合い、何足ものわらじを履いて頑張っています。今秋からは自動車学校にも行く予定とのこと。そして高校卒業後は新しい仕事を見つけたいそうです。ホームステイ中からアクティブな17歳でしたが、これまでの努力は想像してもしきれません。

最後に、Mさんに聞きました。これからシングルマザーになる人へのアドバイスはありますか?

  • 考えすぎないこと。ダメなことはダメと言うけれど、子どものやりたいようにやらせればいい、気楽に考える。
  • 無理せず周りの人に助けてもらうこと。自分にとっては妊娠中からシンシアが心のサポートになった。誰かのサポートを得ること。
  • 迷っている人は、一歩踏み出すこと。母子寮もあるし、一人で育てることにとらわれないで。

Eちゃんにも聞きました。将来何になりたいですか?

「ちょうちょになりたい」

Eちゃんに癒され、Mさんに励まされるインタビューでした。これからも応援しています!

Kさんの場合

20代のKさんは、現在は2歳のAちゃんとの二人暮らし。ライフ・ホープ・ネットワークでホームステイし出産した後、母子寮で生活していましたが、約3ヶ月前に市営住宅に引っ越しました。

Q. 新しい生活は、どうですか?

楽しいです!人間関係が苦手なのでとりあえずニコニコしながら挨拶しとこと思ってしていたら隣の人と仲良くなって、別の階に住む中学生とも仲良くなりました。その子がAちゃんと遊んでくれて。近所との関係がAちゃんにも良い影響になっています。

実はインタビュー当日、午後から市営住宅の集会所で子どもイベントがあるとのことでした。以前やっていたイベントが少子化で最近行われていないことを知ったKさんが、お隣さんやKさんの母子寮時代のママ友と一緒に企画したイベントだそうです!

Q. 2歳になったAちゃん。赤ちゃんの頃と比べると、どうですか?

違う可愛さがあります。赤ちゃんは赤ちゃんの可愛さ。今は走れるようになって、感情を言ってくれるようになって。できることも増えていくし。成長が早いから寂しくも感じますが…。最近は会話できるようになったことが楽しいです。保育園で何したの?どんな動物が好き?とか、言ったことに対して返答してくれるので。

一緒に何か作ることも楽しいです。まだ一緒にお料理したりはできないけれど、手形・足形とかお絵描きとか。家でも外でも何かをするのが好きな子です。2歳2ヶ月にしては綺麗な丸が描けます!あとはいろんな色を使って線を引いています。

子どもができていろんな場所に行けるようになりました。今まで全然知らなかったドレス着せ放題のテーマパークとか、調べてみたらこの公園には水遊びできる場所がある!とか。子どもがいなければ行かない場所で新たな発見があります。Aちゃんは体を動かすのが好きなので、楽しんでいます。

Q. 大変なことはありますか?

年齢を重ねるにつれて自己主張をするようになって、その部分は大変です。危ないことなのに聞いてくれなかったり。イヤイヤ期ほどではないと思うのですが。Aちゃんがそれをするならママもxxxしないよとか、言い聞かせながら対応しています。

Q. 子育てで困った時にはどうしていますか?

自分で考えるか、保育園の先生に聞きます。保育園はAちゃんが5ヶ月の時から通っていて、Aちゃんのことも私のこともよく理解した上でアドバイスしてくれるので助かります。

Q. Aちゃんはどんな子でしょう?

優しいです!家で小指をぶつけてちょっと「いたっ」て言うだけで心配してくれます。ママのために「いたいのいたいのとんでけ」ってやってくれたり。保育園でも他の子に優しいです。人にも動物にも優しい子です。虫は別。平気で踏みつけてます。良くないよってそろそろ教えなきゃと思ってます。なぜそんなに優しい子に育ったのかはわからないけれど・・・一番大事なのは褒めることです!オーバーリアクション気味に。「あ、褒められるんだ、こんなことで」と思わせるぐらいに。Aちゃんは道端でスズメを見つけると、「ちゅんちゅんさん、ヤッホー」と挨拶します。それだってどんな子でもできることではないので褒めています。

Q. これからの目標はありますか?

変わらず楽しく、Aちゃんがいい子に育って欲しいです。あとは正社員で働ける仕事を探したいと思っています。できれば接客とか人と関わることがしたいです。人間関係苦手だけど、仕事となったらちゃんとできる性格なので。

Q.これからシングルマザーになる人にアドバイスはありますか?

疲れた時は、「疲れた」で良いです。私はAちゃんが生後3ヶ月ぐらいの時、Aちゃんと一緒にいることが辛くなってしまいました。もう消えたいと思うくらいになってしまって。それで役所に相談して、ショートステイを利用させてもらいました。一週間の期間を決めてAちゃんを乳児院に預けて、自分一人の時間ができました。でも実際そうなったらすぐ寂しくなってしまったのですが。

頼れるところはたくさんあるから、ママが諦めたら終わりだから、相談してください!そして一緒に解決してもらってください。みんなで子育てするんだと思ってください。

最近のご相談から

妊娠5ヶ月で婚約破棄。シングルで育てる自信がない。

つわりが酷くワンオペ育児が限界を迎え、2人目を中絶。もっと頑張れたのではと自分を責めてしまう。

外国人留学生。妊娠がわかったけれどどうすればいいかわからない。

付き合っている彼女が妊娠。自分は社会人1年目で、もう少し経済基盤が安定してから家庭を持ちたいと思う。

望んだ妊娠だったが胎児の病気がわかり中絶。日常生活に戻れない。

思いがけず3人目を妊娠。高齢出産のリスクが心配で産むべきかどうか迷っている。

おそらく妊娠7ヶ月ぐらいだと思う。怖くて病院に行けていない。

10代の頃に中絶。最近になって結婚・出産し、過去のことを思い出すようになった。

高校生の娘が妊娠。親として何が正解かわからない。

(プライバシーに配慮して一部内容を変えています。)

引き続き、幅広い年代の方から、いろいろな背景の相談が寄せられています。他機関や病院からの紹介で繋がった方もいました。一人一人の状況を丁寧に聞きながら対応していきたいと思います。

サポーター募集中です!

ライフ・ホープ・ネットワークは皆様からのご寄付により運営されているボランティア団体です。小さな命のために安定的に活動を続けるため、一人でも多くの方にサポートいただければ幸いです。


CONTACT

ひとりで抱え込まないでください

どんな内容でもかまいません。話しながら一緒に整理していきましょう。
匿名でのご相談も、ご家族やパートナーからのご相談も受け付けています。

相談は無料です/土日祝日もご相談いただけます(受付時間 朝10:00〜夜8:00)